変容法3 秘膜3  秘膜各層の由来

秘膜は、生命がこの40億年間にさまざまに姿を変えてきた名残だ。
多細胞生物の哺乳動物になっても、
それ以前の生物段階特有の秘膜クオリアが生命記憶として刻印されている。
尾がなくなった今でも尾の神経が残存し、それを活性化することで
動きがずいぶん助けられるのはダンサーなら誰でも知っている。
皮膚もまた、姿形が変化しても
以前の生物段階の秘膜クオリアがからだの闇に深く残っている。
各層の秘膜の起源と、その呼び覚まし方を述べよう。



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秘膜第1層 胞衣(えな)層

哺乳類は胎内では、薄い胞衣(Plaxenta)と呼ばれる皮膜に包まれている。
出産時にはそれが破れるが、
哺乳動物の親はそれを丹念に舌で舐め取り食べてしまう。
これまで、触れるか触れないかの不即不離の距離、
と呼んできた秘膜層の起源は胞衣にある。

出産後も、いわば第二の皮膚として、この秘膜は生き続ける。
生命はこの胞衣層の秘膜で世界を感じ、共振している。
物理的な触覚や痛覚に特化した皮膚そのものよりも、
世界の微細な変化に対し鋭敏なもっとも深い感受性、受苦性をもつ。
なぜなら、胎児時代には、からだが振動するより先に、
この胎児にとってもっとも薄い胞衣が振動し、
胎児へのショックを和らげ、吸収し、
胞衣の微細なふるえを通じ、
胎児は世界の微細な変化と共振していたからだ。
しかも、胎児時代には、五感は分化せず、
この胞衣層の世界覚とともにすべてのチャンネルのクオリアが
一体的に共振していた。
おそらく胞衣は、体感から世界−自己像覚すべてのチャンネルのクオリアを
分化せず一体化して受け取っていた単細胞時代の細胞膜に起源を持つものだ。
生命はある時代の感覚器官を失っても、脳内にはそれに対応していた
グリア―ニューロンの神経細胞が生き残っている。
クオリアを保存しているグリア細胞は胞衣がなくなったことを知らない。
尾がなくなっても尾のクオリアを保存しているグリアはなくならない。
手足をなくしたとしても、幻肢という感覚が残存するのはそのためだ。
五感に分化した感覚と、胞衣の未分化な世界知覚は大人になっても共存し、
たえず共振して総合的に世界を把握している。
この胞衣の距離で不即不離のコンタクトを行うと、
だれでも胎児時代やそれ以前の生物段階のような
えもいえぬ夢心地に誘われるのはそのためだ。

秘膜第2層 羊水層


胞衣の外側は、胎水層である。
胎児時代だれもが十ヶ月この胎水とともにゆらいでいた。
この第1層も古い起源を持つ。
生命発生以来単細胞として大洋のなかでゆらいでいた
大洋ゆらぎのクオリアに由来するからだ。
大きな波に動かされる体感は心地よい。
誰もが思い出せるのは、生命が40億年間も体験してきたものだからだ。

秘膜第3層 子宮層


胎児は胎水ごと子宮に保護されている。
子宮はいわば安全を守る生命のシェルターだ。
大きくなっても、ベッドの中や、個室、トイレ、風呂場といった
小さな空間でくつろげるのは、そこが子宮に代わるシェルターだからだ。
時にはこの層は家の建物全体や、庭も含めた敷地全体、
住み慣れた地域全体にひろがることもある。

秘膜第4層 世界層


胎児にとっては、子宮の持ち主母親のからだが世界である。
母親が感じているものは胎児も敏感に察知し共振している。
その人の自我人格以前の性質(たち)と呼ばれるものは
この胎児時代の母体との共振経験に起源を持つのかもしれない。

秘膜第5層 外世界層


世界層のさらに外、未知なる荒野、フロンティアである。
はじめて外国に行くときや、未知の文化に触れるとき、
私たちはこの外世界層の秘膜に直面しているのだ。
未知の土地を歩くとき、からだは無意識裡に交感神経モードとなり
アドレナリンに満ちた警戒状態のからだになる。

秘膜は体外だけにあるのではない。
皮膚の下でも、各層で世界と共振している。

秘膜第0層 皮膚


実際の皮膚は、皮膚外の秘膜と、内膜の間の第0層にあたる。
触覚、痛覚、温度覚、圧迫などの固有感覚などの
神経細胞が分布している。
単細胞時代は、細胞膜が皮膚でありかつ秘膜のすべてが未分化だった。

内秘膜第1層 体液層


単細胞時代は、細胞膜の中はただ原形質が流動していた。
多細胞生物では体液が、原形質流動の名残である。
血液、リンパなどの体液流動層が内部の秘膜第1層である。

内秘膜第2層 筋肉層


その下は筋肉層である。日常的に意識して動かせる大きな表層筋と、その下部の
深層筋に分けられる。秘膜としては、このふたつは分けて捉えたほうがいい。

内秘膜第3層 秘筋層


秘膜に対する刺激には、この秘筋(深層筋)層で無意識裡に反応していることが多い。
秘筋を制御できるようになることが、
意識と無意識とからだの間で起こっていることを
透明に見通すために必須の技術である。

内秘膜第4層 骨・関節層


骨や関節の動きを意識すること。とりわけ日常体が忘れ去った
手足の第4関節や、仙骨関節などの秘節を制御できるようになることは、
秘筋同様、透明体にあるための条件である。

内秘膜第5層 内臓層


生命に対する外界からの刺激は、内臓の変化として現れる。
交感神経と副交感神経を切り替える自律神経がそれを制御している。
自律神経そのものは意識では制御できないが、
呼吸法やゆらぎ瞑想などによって、交感神経モードに興奮した状態を
副交感神経モードに戻すことはできる。
常に内臓の微細な変化が透明に感じられる透明状態になることが
病気を未然に防ぐために大事である。
内臓の変化は情動として意識に上ってくる。
その多くは不快なために日常意識は見落としがちになる。
不快な気持ちの悪さのクオリアこそ
生命からの最も重要なメッセージなのだと知って、
それと友達になることが必要だ。




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