変容法 3−2  秘膜の深さ


秘膜とはなにか。
秘膜(ヒドゥン・スキン)は、子宮と胎児が一体化していたころの世界認識の方法である。
自分がまだ人間であると知らなかったころ、
私たちは子宮のゆらぎと胎児のゆらぎが別物であるなどとは思っていなかった。
世界も自分もすべてを一体化してとらえていたのだ。
人間は二項論理による言語思考とは別に、非二元的かつ多元的なクオリア思考を持っている。
それが秘肌の思考、夢の文法、もうひとつの世界認識の方法なのだ。
秘肌はスタニスラフ・グロフが見出した分娩前後、胎界W期の体験とも密接に結びついている。
秘肌に刻み込まれたクオリアが飛び切り深いのはそのためだ。

グロフのW期とは、

T期:大洋エクスタシー

子宮内の原初の海で心地よくゆらいでいるクオリア。
生命が発生当初の単細胞生物から無脊椎動物時代の
海中でゆらいで生きていたころの生命にとってもっとも懐かしいクオリア。

U期:世界の終わり (子宮収縮の開始)

いつまでも続くと思われていた極楽世界に突然終わりが来る。
世界が突然変化するクオリア。
生命の安全を脅かす世界の変化がはじまる。

V期:出口なし

こんな変化は望まない。止まれ。元にもどれ、といくらあがいても
子宮の収縮は止まらない。それどころかますます締め付けてくる。
逃れ出る出口を探そうとするが見つからない。
不快な体験が長引くと生命はこのときの恐怖に囚われる。


W期:生と死の葛藤

収縮が長引くと、とうとう胎児は生物学的な怒りに囚われる。
私を殺そうとするな! 殺そうとするなら私はこの世界を破壊するぞ!
追い詰められた恐怖が最後に爆発する。
決死の覚悟で膣に頭を突っ込みねじりあけていく。
無呼吸のまま生死の境を辿る。
安寧な子宮世界を自ら破壊する。
みんな忘れ去っているが、
だれもが凶暴な世界破壊者として人生を開始したのだ。

私たちの秘肌に刻み込まれているクオリアはすべて、
おおむねこのWつの時期のクオリアに対応する。

T期の大洋エクスタシーのゆらぎは、
どの生物にとってももっとも親しいクオリアだ。
人が動物と仲良くなるのは、このクオリアを共有するからだ。

U期の世界変化は、世界が急に寒くなったり、
嵐が始まる予兆の音が聞こえてきたり、
戦争が始まって石や銃弾が飛んできたり、
安全な棲家に何物かが侵入してきたり、
―と、誰にも思い当たるありとあらゆる不快な変化、
不安の始まりのクオリアだ。

V期の出口なしは、不快な体験がいつ終わるかわからないほど続いて
それが、永遠に続くのではないかという恐怖に転化したときに起こる。
神経症が発症するのはこの胎界V期の恐怖がよみがえるからだ。
インドでの学校建設の過程で私はそれをまざまざと体験した。
閉所恐怖や高所恐怖、監禁状態への恐怖もこのV期の体験と関わる。

W期の生死の葛藤は、世界と自分との対立のクオリアとして体験する。
世界が自分を押し潰そうとしてくるクオリア。
それに必死で抗うクオリア。
人が社会や家庭などの狭い世界で、
わけのわからない力に押し潰されそうになるまで追い詰められたとき、
無差別殺戮者に転化する事件となって現れる。
誰もがそうなる可能性はある。
だからこそ自我は激しくそれを否定して自分から解離しようとするのだ。

だが、人はどんな深い不幸や災難に遭っても、
それを乗り越えることができる。切り捨てることによってではなく、
@まず、その不幸や悲しみが自分の中にあることを認知する。
Aそれに耐えることができる適切な距離をみつける。
Bゆっくり時間をかけてそれと友達になる。
Cそうしているといつかそれと一緒に踊れるときが来る。
創造は不幸や悲しみを別物に昇華する。

切り捨てて逃れようとすると、
それは無意識界に潜んでいつか爆発的に襲い掛かる。
人がある日神経症や心身症に襲われるのはそのためだ。
そうではなく、からだの闇と適切な関係を見つけること。
サブボディを生きることが、根源的な癒しになるのはそのためだ。
創造だけがすべてを解決する力を持っている。




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