変容法 3 秘膜1 秘膜(ヒドゥン・スキン)


ディリーボディが持つ物理的な皮膚とは別に、サブボディは秘密の皮膜を持つ。
英語でまずヒドゥン・スキンと名づけた。
日本語では秘密の皮膜をつづめて秘膜と呼ぶ。
それは可視的な皮膚ではない。

実は長い間、ヒドゥン・スキンの正体がなんだか分からなかった。
だが、思い返せばわたしのサブボディが創った踊りはほとんどすべて、
ヒドゥン・スキンに折りたたまれていたクオリアがほどけて出てきたものだった。
これはわたしにとってのメインチャンネルなのだ。
だが、その正体がつかめないとは!?
ようやく近年になって、それがほかの秘節や秘筋、秘腔に比べて
はるかに古い歴史が刻まれているものであることに気づいた。
秘節や筋肉に封印されている生命記憶を解きほぐすことで踊りを創ることができる。
だが、関節ができたのは脊椎動物になって以降だ。生命史ではごく最近の出来事だ。
体腔ができたのも、生命が多細胞生命になった十億年前以降のことだ。
それ以前は単細胞だった。
その時代がなんと40億年の生命史のうち、30億年間も占めている。
その30億年の単細胞の時代にも生命はあらゆるクオリアと共振し、
そのうち大事な記憶を細胞内に保存蓄積して来たに違いない。
わたし達の皮膚の細胞には、40億年の生命体験の記憶が刻み込まれている。
その保存された内クオリアの震えがヒドゥン・スキンである。
ヒドゥン・スキンが実際の外界のクオリアを感じ、共振するとき、
そこに刻み込まれた生命記憶(ヒドゥン・メモリー)が同時に共振する。
サブボディはこのヒドゥン・スキンを通じて、世界と共振している。
そのかすかな震えに耳を澄ませそこで起こっている共振が聴こえてくる。
個体の生命の記憶だけではなく、胎内で子宮と一体になっていた頃の記憶、
40億年前の生命発生以来の30億年間の単細胞時代の記憶や、
それ以降の10億年間の各種の多細胞生物時代の記憶などなどが、
折りたたまれて保存されている。
それらの内クオリアは、現在の物理的な皮膚が感じている外クオリアと共に、
ときを超え同時に共振している。(参照『クオリア論』「クオリアの現幻二重性」

秘膜(ヒドゥン・スキン)を開く練習は次のように行う。

1.ゆらぎ瞑想を通じて意識を鎮める。
意識の働きを最低限まで止める。
そしてゆらぐからだの中を流れるさまざまなクオリアを味わう。
からだの中に心地よいクオリアの流れを感じられるまでこれを続ける。

2.外界のなにかによって秘膜が動かされるのでゆらぐ。
動かされるクオリアは生命にとってもっとも原生的なクオリアである。
秘膜がこれを思い出し、
もっとも親しく懐かしいものと感じられるまでゆらぎ続ける。

3.二人でペアとなり、からだの皮膚に触れるか触れないかの距離で、
たがいに細胞と細胞の間で起こる生命共振を感じながら動く。
からだ全体で相手の生命体の周りの秘膜と、
自分の秘膜が共振しているのを感じる。

4.不即不離の距離から、もう少し離れたさまざまな距離をとると、
感じられるクオリアがわずかに異なるのを味わう。
1センチ、3センチ、10センチ、30センチ、
1メートルとさまざまな距離で味わう。

5.次は表層の皮膚に触れる。皮膚をさまざまな方向にずらす。
触れられたほうは、皮膚の動きに感応して動く。
さらに表皮の下部の組織や筋肉層に触れ、感応して動く。
最後は骨に触れ骨や関節を動かしあう。
深い層から動かされるクオリアを感じて動く 。
(秘膜がどこにあるかは分からない。皮膚の外側か、内側か、
おそらくいたるところにあるのだ。)

6.ひとりが何らかのポーズをとる。もう一人は、両手でその形をなぞり、
つぎに相手から離れて任意の空間に相手の形を彫刻のように造形する。

7. 最初は同じサイズで造形する。つぎに30センチほどのサイズで創る。
つぎに、それを自由に動かしてみる。つぎにそれを口の中に入れて味わう。
ホコリのサイズになった相手をまつげの上で飼育する。
サイズや動きが秘膜の各層で自在に変化する。

8.一人になり、任意の層の秘膜で創造上の相手とかかわりつつ動く。
相手がどう動くか、秘膜がどう反応するか。
思いがけないことがつぎつぎ起こる。動きながら楽しむ。
想像上の生物や、物体に触れられて動く。
その形や動きが見る見るうちに変化していく。
目覚めながら深い夢のなかで生きている。
時にはいたぶられたり、圧迫されたり、さまざまな予期しない事件が起こる。
秘膜が秘め持つ底知れない創造の泉を味わう。
無限の創造が起こってくるに任せる。


生命としてもっとも深い記憶が刻まれている場所。
それが秘膜だ。

その場所から生命の舞踏を踊れ。
自我や自己、関節や筋肉で踊っている限り、まだ
土方が志向した「生命の呼称で呼べる舞踏」とはいえない。

自我を止め、自己を捨てよ。
死に物狂いにならなければそんな途方もないことができるわけはない。
すべてはそこから始まる。




秘膜1
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→秘膜3 秘膜各層の由来
→虫の歩行3 秘膜各層を開く

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