自全を運ぶ、自全歩行
サブボディがいるのは地下だけではない。
床の上をはいつくばいいざりながらついてくるサブボディ、
空中をさまようサブボディ、
からだの中からすきあらば躍り出ようとしているサブボディ、
皮膚の上を滑っているナメクジ様のサブボディ、足
元にまといつく瀕死のサブボディ、
ありとあらゆるこの世ならぬ形をしたサブボディたちが絡みつき、
妖怪が取り付いて山のように重くなったからだを、
少しずつ前に運ぶ。
全身がいつも微細なゆらぎをたたえている。
死に瀕しているサブボディをひとりも取りこぼさぬように、張り詰めて歩む。
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