←BACK ■ NEXT→

深層調体五番 その一 跼位の秘関三元

跼位の秘関三元

右脚を伸ばし、左脚を骨盤の下に折り曲げてその上に座る。
すると、右の骨盤だけが浮いた状態になる。
その状態で、右骨盤(腸骨)を水平・矢状・戸板の三次元方向に動かす。各次元とも時計回りに三回、反時計回りに三回まわす。
そして、操体呼吸を行いながら、上体・頭部・上肢を前屈させたり、ねじったり、後屈したりする。
前屈ならば息を吐きながら上体を前に伸ばし、
最大限の位置で大きく息を吸い、しばらく保息する。
そしてゆっくり息を吐きながら脱力する。
これを基本に、曲げた片足の上に座り込んだポジションから、
じょじょに腰を浮かし、しゃがんだ姿勢、中腰の姿勢に移りながら、
先と同様に、上体・頭部・上肢を前屈・後屈・捻転する。
焦点は仙骨と腸骨をつないでいる多くの腱や深層筋や筋膜を
十分にストレッチし、流動性を回復することにある。
このなれない動きを一時間から二時間かけてじっくり行うと、
秘関や秘筋が悲鳴を挙げ、さすがにぐったりとした心地になる。
だが、これが大切なのだ。

「ぐったりした心持ちにつながっていなければ、人の行き交いはつかめぬものかも知れない。」
「人間追いつめられれば、からだだけで密談するようになる。」
「(漬物)石を持ち上げ、のびきった茄子を引き上げるときの中腰と、 その中腰自体の中に滲み出ている暗がり」
「この暗がりのなかに隠れることを好んだり、そこで壊されたがっているものがなければ、どうして目を開けてみることなどできるだろう。」(以上第一章)
「からだから引き上げている祖型めいたものが、ときときとした気品に混じって消えていった。」(第二章)
「私は廂にひっ掛かっているような怪しい位置に棲んでいたかった。」( 第三章)

『病める舞姫』では、このように心身を危機に晒すことが、
からだの闇の深部に降りていく坑口にたどりつく、必須の道であるという土方巽自身の方法が、手を変え品を変えて記述されている。
これまでのサブボディ技法では、からだを揺らしたり震えさせたりすることで下意識のからだ(=サブボディ)モードに入っていったが、『病める舞姫』の微細な、見えない背後世界との生命共振の世界に降りるには、それだけでは不十分だ。
土方の方法に学び、さらに困難でつらい上記のような調体と錬体が新たに必要となる。





「からだの闇」をもっと読む