←BACK ■ NEXT→

調体法7  リゾーミング

リゾーミングとはリゾームになる技法として15年ほど前に生まれた。
リゾームはツリーと異なり、粘菌や蘭の根茎のように任意のどの一部でも切断し、
任意の他の部分と連結することができる。比類なき変成力を持った存在だ。
もともとはからだの任意の一部から変成が始まり、
他の部分に伝染していって全身が変容するという変容技法として見出された。
それが、近年生命の舞踏を探求する中で、
背後世界との共振技法に成長し深化しだした。
舞踏が、三次元空間で物理的にからだを動かす踊りではなく、
無数の背後世界と多次元重層的に交感する生命の舞踏へと深化するためには
それを可能とする技術が伴わねばならない。
持ち札のすべてが一斉に変容を始めて、異界との交信ツールへと変成しはじめた。
呼吸法も肺呼吸から生命の呼吸に重心を移した。
二十年に一度くらいの規模の変化が今
サブボディメソッドに起こっている。


1 ボトム リゾーム
足の裏の中心の涌泉を開く。
そこで呼吸する。生命の呼吸だ。
地下世界にひそむあらゆるクオリアに耳をすます。
呼吸とともにさまざまなクオリアが足の裏からからだに入り込んでくる。
地虫の声、
大地の震え、
地下に眠る死者の怨念、
地霊、
太古の化石生物、
あらゆるものを受け入れ変成する。
幻の尾が天に吊り上げられ、頭と腕を脱力して
尾にぶら下がるからだとなる。
その姿勢から、足下のクオリアがからだに忍び入り、
徐々にからだがもたげられる。
野口体操の原初生命の歩行だ。
その動きをしながら、同様に足下からさまざまなクオリアを受け入れて変成する。

2 トップ リゾーム
いつのまにか足下から獣の精が忍び入って、
ひそかに躍り出てくる瞬間を狙っている。
ここぞという瞬間にそれまでのからだの底からこみ上げる動きが
突然頭からの獣の動きに転換する。
獣だけではない。
天上に住むあらゆる元型とコンタクトする。
妖精、天女、天使、浮遊霊、
それらと共振して気化していく。
軽いものだけでもない。
突然天が低くなり、
世界の重みがからだにのしかかってくることもある。
世界を支えるアトラスに変成する。

3 
エッジ リゾーム
からだのなかで指先はもっとも繊細な部分である。
指先がアンテナとなって空中でなにか微細なクオリアに触れる。
異界からの不思議な光線かもしれない。
まさぐっていると、さまざまな生き物や物体が現れてくる。
指先の共振によってあらゆるものが空間に生まれてくる。
舞踏家の指先は不可視のものを異世界から呼び出す魔術師の手なのだ。

4 インナー リゾーム
内臓や秘腔から変成が始まる。
胃腸に住む細菌群と地場の細菌群との間では
たえずさまざまな共振パターンが変化している。
下痢や腹痛はその変化の現れだ
内臓が腐りだし、その腐食が全身に拡がっていく。
いつのまにか子宮に妖怪の子種を宿してしまっている。
妖怪が育つにつれて恐怖がふくらんでいく。

5 ビハインド リゾーム
気がつけばいつのまにか背後の世界から
背後霊が忍び寄り,取り付いている。
背後霊はときに守護霊となり、ときに予測できない悪さをしかけてくる。
からだを縛り上げることも、全く勝手気ままに動くこともある。
あらゆる魑魅魍魎、あらゆる背後霊を受け入れる媒体になる。

6 フロント リゾーム
目の前に見えている世界が、妄想に侵蝕される。
母が倒れるとか、赤が子が死にかけるとか、
大変なことが起こっているのにからだが動かず助けに駆け寄れない。
思いは駆け寄っているのに、からだがそれに追いすがれない。
悪夢という悪夢が襲いかかってくる。
記憶という記憶が濁流となって押し寄せる。


7 シークレット リゾーム
秘関、秘筋、秘液、秘腔、秘膜など五秘のどこかから背後世界に触れて変成が始まる。
何が起こっているのかが見えにくい、もっとも秘密に満ちた変成だ。
自分固有の秘密の変成の始まりを見つける。
序破急の序破の部分では、1〜4の、比較的見やすい単純な変成から始める。
舞踏家のからだに何が起こっているのかが、
日常体の目からも透明に見えるような変成を見せることが必要だ。
そして、観客が十分舞踏家の世界に引きずり込まれた頃を見計らって
いよいよ非二元かつ多次元世界に一気に引きずり込む。
それが<急>だ。
きみの命の秘密の変成を発明せよ。
何が起こっているのか、予測も解釈もできない生命の多次元共振を見せよ。
一箇所だけからではなく、からだの秘密の部位が無数の背後世界と共振して
一気呵成にランダムな変成が始まる。
この世のあらゆる不幸と至福を引き受けよ。
いつのまにかからだのあちこちが透き通っていく。
不思議な音楽を奏で始める。
透明なものへ、変成する。
リゾームになれ。
たったひとつの秘密になれ。


関連技法  リゾーミング1−4

| サブボディ舞踏スクールホームページ |