産婆ガイド

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 3 探体技法 
 からだの闇の探り方 
 原生体探り方 
 異貌体の探り方 
 からだの踊り場を開く 
 
2014年10月9日

深調体9番 
微細化とX還元によってからだの踊り場を変える



二期目のパメラのからだに、奇跡的な創発が起こった。
わたしもちょうどそれを示唆するところだったのだが、
それより先に彼女自身が気がついた。
自分の踊りが肘を折り曲げて、いつも腕先で踊っていることに。
それに気がついた彼女は、ある日肘を曲げないで踊ろうと決意した。
すると、それまで隠れていたさまざまな意外なからだの踊り場からつぎつぎと
目新しい動きが飛び出してきた。
肩の踊り場、手首の踊り場、足の踊り場、舌の踊り場などなどだ。
それらが発現する瞬間は見ている方にも、
とんでもない創発が起こっていることが分かった。
ときどきいのちはこういうとてつもない創発が起こる。
それを踊りながら、彼女はそれまでの肘を折り曲げる姿勢が、
過度に自己を守ろうとする傾性に囚われていたことに気づいたという。

調体九番 からだを細分化して各踊り場を開く


ちょうど授業で、土方の「静かな家」への取り組みに入り、
第一節のディテール―部分―体全体のイメージ―背後世界という
4つの要素をつねに意識して踊るというDPW-B技法(Detail-Part-Whole Body- Behind world method)の修練に入ったところだった。
それにたいしてある新入生が、
「からだの各部を別個にコントルールすることができない」という
問題にぶつかった。
そうか、それももっともだ。
DPW-B技法を学ぶ前に、
からだの各部の踊り場を開くことから始める必要があると気づいた。
そこで、調体九番の、細分化を行い、からだの各部の踊り場ひとつひとつを独自に制御し
動かす練習をはじめた。
からだ全体をひとつのクオリア、波なら波、縮むなら縮むに共振することからはじめ、
じょじょにからだを二分、三分、九分して、
それぞれ違ったクオリアに共振する練習をする。
具体的には調体九番の細分化と、調体六番の六道クオリアをかけあわせ、
各部にふるえ、ゆらぎ、うねり、ショック、崩壊、死滅などのクオリアを通していく。
ときには調体七番の7つのリゾーミングを掛けあわせるのもよい。
そしてそれを無限に細分化していく。
指先ひとつ、睫毛、鼻毛、唇の端、指の間、つま先、尻尾などなどの
からだの踊り場をひとつひとつ開いていく。
そして、
まつげでホコリを飼育する
脳みそを金属棒でかき乱される
神経が盗まれて抜かれていく
――などなどの微細なディテールのクオリアを各部に通す。
これを続けていくとやがて、自然に
キメラ体や巣窟体へとからだの熟成が進む。
毎年3月、9月の期初は、からだ全体が日常体から
サブボディモードに生成変化することに重点を置く。
その間に次第に各サブボディ固有の課題が明らかになっていく。
そして、4月、10月の期の中盤は探体・創体技法のテクニック練習に焦点を当てる。
とりわけ、からだを細分化して制御できる技術、
からだ全体から何らかのクオリアを削減して、からだのたった一部だけが
固有のクオリアに共振して動き変成する練習を積む。
これらが総合されて、はじめてからの踊り場を変えるという
困難な技術を身につけることができる。

Xによる還元技法で固有の<削減体>を創発する

からだの一部だけを<踊り場>として開くためには、
からだの他の部分の動きを抑止することが必要になる。
からだ全体を最小限の微細震えの状態に保つ。
『病める舞姫』の基礎になる微細共振体だ。
からだに霞をかけて曇らせる。
そして、大きな動きを抑止し、たったひとつだけの踊り場を開く。
土方のいうXによる還元によって、日常のからだから何かを差っ引く。
サイズや速度を削減したり、柔軟性や健常性を喪失したりする。
<削減体>(英語では"Reduzed body"と呼ぶ。)の練習を行った。
そこで彼女は癖になっている肘の動きを自分で制止したのだ。
それがこの目覚ましい発明につながった。

何年も続けてきた削減体の練習から、はじめて生まれた偉大な創発だった。
ほんとうは、わたしは生徒の健康なからだのどこかを不自由にすることを
おそれて、おずおずとしかこの削減体を授業にもちこめてなかった。
いつどんなエッジにぶつかり、どんな反発が起こるかもしれないと、及び腰だったのだ。
だが、生徒自身の気づきが伴えばそれは偉大な発見につながる。
なにごとも最適の共振タイミングを見出すことが大事なのだ。

この発見を通じて、これまで別個に進めてきた
1.からだの細分化
2.Xによる還元と再生
3.からだの踊り場を変える
これらの三つがひとつにつながった。



(この項は、産婆ガイドにも収録します。)



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 非二元域に入る 
 
 無題1 パメラとコーボディ
2014年9月30日

非二元域に入る


二期目のパメラが踊っている最中、特別なことが起こった。
極まれに起こるサブボディの非二元・多次元生命共振現象だ。

まず、彼女は頭だけで進む固有の生きものに出会った。
それを他の塾生がコーボディで共創した。
穴の中に潜む彼女に近づいていき、顔だけを穴に突っ込んだ体勢で、
「虫の歩行」を顔だけで踊った。
その生きものに襲われた彼女は、今度は世界の側から虫たちに近づき、
口に枯れ葉を詰め込んでいった。虫たちにとっての予期せぬ世界変容となった。
それで終わるのかと予期していると、それからの変容が長かった。
虫たちから離れ、たった一人で無限の変容が起こりだした。
20分ほどさまざまな動きや見えない背後世界に襲われたり、
ふたたび死んだ虫たちに太母のように近づいて。生気を吹き込もうとした。
おそらくからだの闇の祖型や元型が個人的な記憶と絡まり合いながら
次々と訪れ、もつれつつ変容を続けたに違いない。
まれに起こるこの現象をサブボディーコーボディの非二元変容と呼ぶ。
本人にも何が起こっているのか、定かではないが、からだの闇に潜在していた
クオリアが一斉に活性化し、次々と多次元的に共振変容しながら、踊りだしてくる。
この現象は、自分の全体、いのちのすべてを踊るチャンスである。
からだが下意識モ―ドで勝手に動いているときも、
それを外から眺める<離見の見>をひらき、しっかりからだで覚えることだ。
前期にもパメラのサブボディは一度この非二元・多次元共振状態になって、
小一時間も次々と見知らぬサボボディが出てき続けたことがあったが、
はじめてのことで、それらのすべてを思い出すことが出来なかった。
だが、今回はさすがに二回目の経験だ。
コーボディとの関わりもあった。
透明覚を開いて、からだに刻み込むことが出来たようだ。
ここまで来れば、あとは一気に統合へ向かうことができる。
だが、急ぐまい。10月、11月の稽古をを通じて、もっと他の技法も学び、
違ったサブボディ=コーボディを掘り起こして、自在に密度を運び、
からだの踊り場を変えて、自在跳梁する壮大な踊りに育っていくのを待てばいい。

からだの闇の旅では、いつどんなことが起こるか、予期しきれない。
産婆はそのとき慌てず、最適の距離をおいて暖かく見守りつづけることだ。
けっして、自分の中の教師エゴを発動してはならない。
これまでわたしは何度もこの教師エゴにとらわれて、あまりに意外なことが起こったとき、生徒を叱りつけ、想定内の授業の進行を優先しようとして、
幾体もの貴重なサブボディを流産させてしまった。
とりわけ、<癇のからだ>がはじめて出てきたときは、
生徒自身もそれをコントロールできないうえに、
そのあまりにもな目も当てられない醜さに、驚いて制止してしまったことがある。
その瞬間、サブボディからもっとも貴重な<癇の花>が咲く瞬間を
流産させてしまったことになる。
産婆を続けているとそういう失敗の悔恨がいっぱいにたまる。
全世界の産婆諸君は、このわたしの失敗を繰り返さないでもらいたい。



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