October 2007

多重人格肯定日記
――
解離性同一性障害を肯定する日記
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2007年
2007年10月18日


多様な性的衝動の起源について

若いころから自分の中の性的衝動に
微妙で奇妙な違いがあることに気づいていた。
だが、それが何なのか、分からなかった。

思うだけで満ちてしまう衝動、
そっと触れ合うだけの衝動、
きつくくっつけたい衝動、
そして、性的結合にいたる衝動、
――これらが、まったく違うものであることに気づいた。
私は解離性多重人格症なので、
これらの衝動が各人格に分担されて現れる。
各人格は何年かごとに交替して現れる。
60歳に近くなった今ようやそれが何なのか、
くっきり分かってきた。
それぞれの解離した人格たちは、
人生のそれぞれの年齢で発生し、
私のからだの闇深くに潜んだのだ。
それぞれの人格が持つ特有の性的衝動の差異は、
それらの人格が発生した年代に規定されている。

3歳のころに母に捨てられ解離したりゅうり大魔王は、
狂ったように母を探し回っている。
ありとある隠れ家を引き剥がし、
突然いなくなった母をいまだに探し回っている。

5歳のころに、祖母を第二の母として親しもうとしだした人格りゅうりは
絶えず皮膚をくっつけたがっている。
ただただその衝動に支配されている。
ごく最近思い出したことだが、
わたしは私の中のロリ人格が誕生した瞬間を見つけた。
5歳の夏、ひとつ年下の幼なじみのみっちゃんと
庭でたらい行水に入ったあと、板の間で並んで昼寝した。
5歳の私はすぐ横に寝るみっちゃんのからだにとても触れたくなった。
だが、びくともからだが動かなかった。
その金縛りにあったようなはじめての性的衝動の奔出を
ありありと覚えている。
あの時私ははじめて、失くした母との接触への囚われから脱して
自分独自の異性を求めようとしだしたのではないか。
小児のくせに、そして、小児ゆえに。
その衝動は満たされないままからだの奥に沈みこんだ。
その欲動がいまだに私の中でそのときのままにたぎっている。
私の中のロリ人格はそのとき以来の
満たされることのなかった欲望に貫かれている。
それをまざまざと実感させられた。

7歳で両親と祖父母の芝居に騙されて祖母から引き剥がされて、
ふたたび継母としか感じられない実母の下に引き取られた私は、
明らかな二重人格になった。
表向きは実母のスパルタ教育でその軍門に下ったかの
振りを強いられた龍二は、
その裏に母ではない同世代の少女たちへの偏愛にとりつかれ始めた。
その二重性の闇の中で私のロリ人格が
成長していったことがようやく見えてきた。
子供にとって同世代の少女たちへの性的衝動は、
母や社会に対してきつく秘められねばならないものとして発生した。
かくして私の60年に及ぶ多重人格の基本構造が出来上がった。
表向きは私はとびきりの優等生だった。
二度と大人に騙されるという屈辱を味あわないためには、
大人の言うことに耳を澄まし、その言葉の裏に潜んでいる
秘められた情報をもすべてかぎつける必要があったからだ。
大人たちが子供に課すテストの甘い仕掛けなど
すべて透明に見すかせた。
いちど騙され用心深くなった子供を甘く見てはいけない。
大人の手口をずっと観察して見破ることが私にとって
生きることとなったのだ。

10歳の私は同じ世代の少女を愛する。
私の中のもっとも奇妙で強い性愛傾向だ。
そして私の60年の人生の中でもっとも
深く長く親しんだ微細な性的傾向の世界だ。

15歳ころになると、からだから湧き上がってくる
性的衝動に取り付かれはじめる。
だが、実際の行為を望むわけではない。
ただただ性的妄想に取り付かれて狂うほどになる。
同世代の女の子は誰も相手にしてくれない。
落差の大きさに最も苦しんだ時代だった。

17歳で、やがて結婚することになる少女と付き合いだした。
性欲はむせるほどに噴出してきたが、
その少女とは20歳で結ばれるまでただただ触れ合い続けていた。
何度か交わろうとしたが少女が痛がったのでそのままになった。
それでよかった。
触れ合うだけの関係には、
触れ合うだけの関係性の豊かな深みがある。
ひとたび交わってしまうと、
それはもう生物学的に規定された世界に支配されるだけだ。
性的快感は強烈だが単純だ。
とことん快感の限りを味わったから、
その世界はその世界で底深いことも知っている。
だが、触れ合うだけの世界に比べると微妙な味わいに欠ける。

ともあれ、私の中にそういう異なる性的衝動をもつ
違った人格が何人も存在する。
かれらは発生当時そのままの性的衝動をもち、
いつまでも時のない次元に存在し続けている。
彼らのクオリアは時のない微細次元で共振している
ひもの共振パターンに保存されている。
この三次元空間で言えば脳内の神経細胞、
おそらくはグリア細胞の奥深くに潜む
微細次元に折りたたまれているのだ。
そしてときどきその世界から時のあるこの次元に出現する。

解離された人格や彼らが持つ特有の性的衝動のクオリアは、
微細次元で時を越えて振動し続けている
ひもの共振パターンとして保存されているのだ。

母の声のクオリアが永遠にその次元に保存されているように。
あらゆるクオリアの収蔵場所が存在する。
記憶の謎も、解離性人格の秘密も
ひも理論なしに解くことはできない。
粒子に基づく標準物理理論では
生命やクオリアの無限の多様性がどこから生まれるかの
疑問に答えることができない。
生命を解けない物理理論など、
間に合わせのまやかしであるに決まっている。
そろそろその間に合わせの近代知から
覚めねばならないときなのだ。





2007年10月9日

荒御魂の秋

毎年10月、11月は、からだの底から変になる。
10月8日が山崎博昭、11月24日が辻敏明の命日だからだ。
知らない間にからだが20歳のころの革命運動者・山沢夙、
日本絶滅主義者・今故血人肉男などの
過激な人格に摩り替わっている。
アドレナリンが体中にたちこめているのだろう。
些細なことですぐ怒りと激しい否定に結びつく。
生徒のほんの日常的な顔のしかめの反応が、
三日間焼きついてとれなかった。
いまだに10月は神経症寸前の状態に陥っている。
そういえば、これまで怒り人格や否定人格が出てきて
親しい関係をも終結させたのは
いつも十月か、十一月だったような気がする。
気がつかなかった。
心しておかなければならない。
否定人格にサブボディの産婆はつとまらないからだ。
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