November 2007
共振塾ジャーナル
2007年11月
ヒマラヤ山中の衰弱体
マリアの最後の衰弱体授業
土方巽最期の衰弱体
三途の川溺れ in ヒマラヤ
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2007年11月
今月のビデオ
ヒマラヤ山中の衰弱体
2007年11月27日

●あの、お邪魔してもいいですか?

今日は生徒と、山のふもとの巨石ロックガーデンに行った。
何万年か前のヒマラヤの氷河湖が決壊して大土石流として
流れ落ちた巨石群の公園だ。
こういう場所で踊らせてもらうには手続きが要る。
瞑想の中で今ここの自分から、徐々に年代をさかのぼり、
10歳の自分、5歳の自分、赤ん坊の自分から、
胎児期の自分にまでさかのぼる。
それから自分が生まれる前の生命の連鎖をさかのぼる。
あらゆる多細胞生物の命は常に単細胞期と
多細胞期を繰り返して連鎖している。
哺乳類、爬虫類、両棲類、魚類、無脊椎動物、そして、
30億年を過ごした単細胞期の生命にまでさかのぼる。
命もこの辺までさかのぼると、ヒマラヤの岩とも
対話できるようになる。
君はいつごろここへ来たのだい?
ヒマラヤの岩はもともとはインド洋の深海底だった。
長い間に高いところまで押し上げられて、
そして転がり落ちてきた岩たちだ。
マイナス数千メートルから海抜数千メートルまで
合計一万メートルもの高低差のある変転を極めている。
こんな運命の岩も数少ない。
そして、彼らの領分に入るときは
ゆっくり時間をかけてなじんでいく。
あの、入ってもいいですか?
ちょっと踊るので見てもらえますか?
岩から許しが出るまで待つのがいい。
人間という自尊心や虚勢心などがすっかりなくなるには
時間がかかる。
岩はその時間を見ているのだ。




2007年11月23日

●ヒマラヤ山中の衰弱体

今年最後となる今月は、
生徒が自分の気に入った場所を見つけて
サブボディビデオを卒業制作する。
今週は学校と川の間の山中で各自が自分の場所を見つけて
その場所への挨拶代わりに動いてみた。
今年もあと二週間、
これらの動きがどこまで精妙に磨き上げられるか。
楽しみだ。

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2007年11月21日

マリアの最後の衰弱体授業


マリアは故国で新しい仕事に招聘されたので、
今日が最後の日になった。
午前中は彼女の最後のサブボディダンスを見せ、
午後は彼女が衰弱体へ導く授業を行い、
それにしたがってコーボディのグループ即興に入った。

彼女の最後の授業は、
寝たきりの人のからだになりこむことから始まった。
床にめいめいの姿勢で横たわる。
そして、その姿勢のまま三ヶ月動けないからだになりこむ。
三ヶ月たつと、何かがからだを少し動かす。
そしてその姿勢のまま半年動けなくなる。
床ずれの感覚がいやおうなくからだにしみこんでくる。
誰だって少しぐらいの床ずれは知っている。
それを何ヶ月も動けないからだだとどうなるか、
想像を絶する苦痛がからだを包む。
その深いリアリティに導かれる。
マリアがこれまでたどってきた人生の深みが授業ににじみ出る。

そして、全員が完璧な衰弱体に変成し遂げたのちに、
衰弱体同士のコミュニケーションが始まる。
ほとんど動けないからだ同士が、触れ合うと
ほとんど細胞と細胞との間に生起する生命共振だけが感じられる。
自我も自己もない、命と命の触れ合いだ。
わずか3ヶ月の経験でここまで導けるようになった
マリアの力量を思い知った。
これから彼女は身体障害者のセラピーの仕事に就く。
ヒマラヤで学んだ生命共振を十全に活かせる仕事だ。
そこで障害者から学んでいっそう技法を深めてくれるだろう。
いつの日かの再会が楽しみだ。




2007年11月14日

最期の衰弱体


土方が最後に到達した衰弱体とは何だったのか。
1973年の舞踏公演を最後に、
土方巽は舞台に立つことがなかった。
土方は衰弱体の技法を誰一人にも
伝えることなく死んだので、
こんな舞踏を踊れる人間は
30年間この世に絶えていなくなってしまった。
いかにして衰弱体に変成しうるのかも、
闇の中に埋もれた謎となっていた。

だが、30余年ぶりにいまヒマラヤで
その封印が解かれようとしている。
衰弱体への変成を目指す坑道の
坑口がついに見出された。
このからだの闇の坑道を掘りぬくのに
何年かかるかは分からない。
だが、私たちはとことんまでいくだろう。

もしきみが存在の底を堀り、命に触れたければ、
来たれ、ヒマラヤへ。
ここはそれができる世界で唯一の場所だ。


今月のビデオ
三途の川溺れ /Kats
2007年11月2日

●三途の川溺れ in ヒマラヤ


ヒマラヤの清流のほとりに出かけて一日過ごした。
生徒はそこでお気に入りの場所を見つけて踊りを創った。
カツは、絶妙の岩の祠を見つけて、
その岩蔭の流れに浸かって踊りだした。
岩の祠、滝、岩の壁、岩舞台、流れと次々と場を替え、
水、岩、流木、積み石、と即興の相手を替え、
妙な小坊主、リストカッター、女体、もののふ体など
あらん限りのサブボディを登場させた。
最後に賽の河原の石を積みつつ、
三途の川に転げ落ちて溺れたときは、
思いがけぬ落ちにしばらく笑いが止まらなかった。
めったに見られない会心の即興だった。
会心の即興は命に笑いを引き起こすものなのだ。