透明論 




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第4章        
ツリーとリゾーム


●意識の論理と下意識の論理

ヒマラヤへ来てから、
意識の世界と下意識の世界を往還する生活を続けてきた。
適切な師が見つからなかったので、
たった一人で手探りでからだの闇に入り込んだ。
時には思いもかけぬ無意識の奔流に呑みこまれて
死線をさまよったこともある。
インドのヒマラヤの辺境で家や学校の建設中には
思いもしない激しい文化ギャップに、神経症の妄想に襲われたり、
狂気や怒りの暴発や歓喜のきわみやその副作用など、
ずいぶんとんでもない体験を潜り抜けてきた。
無意識界は、意識界とは根本的に別の時間空間をもち、
まったく未知の論理によって動いていることを思い知らされた。
よいガイドなしにひとりでこんな無謀なことをすることは
絶対に勧められることではない。
ガイドなしに冬のヒマラヤに入ったり、
深海に潜るのと同じくらい
命知らずなことだった。
日本にいてはとても危険すぎてできない実験だった。
だが、ここなら自分がどんなに変になっても
周りにうかつに人を近づけさえしなければ
大事に至ることはない。
どんなに異常な状態になっても
静かに横たわり、
元の状態に戻るのを待てばいいことを知った。
生命にはそういう不屈の復元力や自己治癒力がある。
原生力といっていいだろう。

意識と下意識の世界を往還していると
この二つの世界がまったく異なる原理によって
動いている根本的に別世界であることが分かってくる。
下意識は意識にとっては想像もできないような
無数の微細な諧調の差異を見せつつきらめくクオリア
(生命が受け止めているものごとの質感)を乱舞させながら、
時に超微速、ときに思いもよらぬ爆発的速度で急変し、
数え切れぬ多数の次元を変容流動している。
これに対し、意識の世界は三次元的な空間把握や
単純な二項論理(よい―悪い、高い―低い、敵―味方、云々)
によって動いている。
そして、両方の世界を往還するうちに
意識が使っている単純な二項論理は、
複雑多次元かつ非二元な下意識世界の実相を、
分かりやすく単純化することによって得られた
近似的認知であることが透けて見えてくる。
その論理を、下意識の多次元流動世界に押し当てて
捕らえようとしても無理な話だ。
三次元空間は二次元の論理では捕らえきれない。
多次元世界を三次元論理で捉えようとしても
近似的な認知が得られるだけだ。

下意識世界が多次元流動しているのは
それがクオリアからなる世界だからである。
生命は外界の事物やエネルギーに接したとき
その影響で生体内を微細に変質させることによって
その質感をクオリアとして捉えることができる。
このクオリアは、この宇宙のあらゆる事物やエネルギーを
生成させている微細なひもの共振パターンのうち、
微細な7次元で振動している共振パターンによってのみ
生成されるもので、質量もエネルギーももたない。
ただ、微細次元で無限の変容パターンを見せつつ流動している。
(ひも理論や、生命とクオリアについて、くわしくはこのサイト内の
生命論」、「共振論」、
クオリア論」を参照してください。)


●生命とクオリアの不可分性

あらゆる生命はこのクオリアを使って
生命を維持している。
人間もまた他の生命と同じく、
意識の下部でこのクオリアによる生命制御を行っているのだが、
近代の意識至上の意識にとっては
意識そのものにマスキングされてそれは見えなくなってしまっている。
意識活動を発展させるためには、下意識のクオリア思考などは
余計な情報として無視してしまうことが必要だった。
というより、脳内で言語を使った思考をするためには
左右の大脳皮質のおびただしいニューロンを同期発火させるという
大エネルギーを必要とする。
このエネルギーに比べると桁違いにかすかな
活動エネルギーで維持されている下意識のクオリア思考は
自然にマスキングされてしまうのだ。

クオリア流動の実相には、意識にとっておなじみの
二項論理などはまったく存在しない。
ただただ、無数の次元を連結し変容流動している。

人間のクオリアは
二項論理と多次元流動論理の両方の世界を
瞬時に横断しつつゆらいでいる。

人間のからだの闇で起こることを捉えようとすれば
この両方の論理をどちらも使えるようにならなければならない。


●ツリーとリゾーム

ツリーリゾームとは、意識と下意識の特性をうまくつなごうとするものだ。
下意識の世界は多次元変容流動で、常にリゾーム状に変転している。
これに対し、意識の世界はツリー状(階層秩序状)に分化した、
分別界で動いている。
このまったく異なる二つの特性をうまく使ってからだの闇に降りる。


(ツリーとリゾームという概念は、
フランスのドゥルーズ=ガタリが「千のプラトー」という書物で初めて提起した。
私は彼らの思想に多くを負っている。
これについて 私は舞踏論第2章に次のように記した。

「1968年、ドゥルーズ=ガタリが、これまでの近代知を支えていた3次元階層秩序的なツリー状の認識法に代わり、任意に分離、連結し、多次元を変容流動するリゾーム的な知と生存の様式を提示。『千のプラトー』は、土方舞踏が開いた多次元変容界へからだごとなりこむためのガイドブックである。」

サブボディメソッドでは、本来多次元リゾームである心身世界を、
三次元世界になじんだ意識にも分かりやすい図式に分解する。

からだの闇の迷路に降りていく調体技法は、意識にも覚えやすいように、
一番から十二番までの番号をつけ、それぞれの特徴を、
三次元、四足、五体、六道、七リゾーム、八チャンネル、九細分化、十指など
できるだけ基本的な数字に関連付けた。
これらはからだの闇が属している本来の高次元リゾーム世界の次元数を下げて、
三次元世界の意識用に低次元翻訳している。
第6章で扱う、次元数を自在に増減する方法を使っている。

1からはじめて10なら10まで、
その一つ一つを順々にこなしていくのがツリーのやり方だ。
日常意識にも分かりやすい、数字標識のついたツリー坑道を通りながら、
リゾーム状の多次元サブボディ世界に、
そろそろと探査坑道を掘り下ろしていくのがツリーリゾーム技法である。


サブボディ本来の多次元変容流動というリゾーム的な動きを
からだに覚えこませるために、ま
ず、この3次元ランダムなツリーの動きを踏まえる必要があるのだ。
ツリーとリゾームの動きを有機的に繋げる、ツリーリゾーム技法は、
サブボディの高次元世界へ入るための不可欠のステップである。

ツリーの坑道をたどりながら、
もともと多次元変容流動で活動しているサブボディがどう反応するか、
ときどきそのツリー状に掘り進めた坑道に、サブボディが遭遇し踊りだす。
毎日の探体では、この瞬間を待つのだ。


ツリーリゾーム技法は、たんなる理論ではなく、
サブボディ・メソッドの実践のいたるところで使われている。
毎日がツリーの世界とリゾーム世界との往還だ。
実際に体験してツリーとリゾームの違いを味わってみてください。
からだには違いがすぐ分かります。

ツリーリゾーム技法の実際

ツリーリゾーム技法のもうひとつの意義は、
意識と下意識の最良の創造的な関係をつくることだ。
自全を旅するには、どちらが欠けてもうまくいかない。
意識と下意識のどちら側からも、全力で自全にいたる態勢を作ることが大切だ。

サブボディ(下意識)の世界は多次元変容流動する世界であるし、
意識の世界はより低次元の四次元の分別言語に統御された世界だ。
このまったく異質なふたつの世界を自在に行き来できる自全態勢をつくる。

意識と下意識が50パーセントずつゆらゆらつりあっている状態の意識状態になる。そして、自全瞑想をしながら、各レベルの自全を運ぶ動きに入っていく。

方位を八つや12の時計方向に分けたり、
いくつかの段階に区切って練習する練習法を組み立てるのは、
ツリーの意識の仕事だ。
それを理解して順々にこなしていくのも意識の役割だ。

だが、実際に動き出すと意識は最小限のレベルにまで低下させ後退させる。
下意識半分、意識半分の透明覚状態に変成する。

練習の中では、完全に多次元変容流動するサブボディのリゾーム世界に入りこむ。サブボディになりこんで自全世界を旅する中で、
からだから重要な気づきがこみ上げてくれば、
そのときだけ意識の出番が来る。
そばにおいてあるノートかメモに、ささっと筆記してすぐ忘れる。
すぐにサブボディにもどり、リゾーム世界の多次元変容流動に耳を澄ます。

練習が深まっていくと、24時間態勢になる。
眠っている間も、サブボディは活動し続けている。
夜中や明け方に必ずなにか重要なシグナルを送ってくる。
それをすぐさまメモし、夜中なら再度眠りに入る。
明け方ならその夢のメッセージは何だろうとしばらく夢の体感を
半覚半眠の状態の頭の中を転がしていると、
言わんとすることが自然に分かってくる。
色や形などの視覚イメージはさまざまにデフォルメされているが、
体感は必ず、自分の一番問題としている事柄に関わっているからである。

私の例でいえば、毎日の練習内容は大概夜明けか日中の
横になってうつらうつらしているときにサブボディから届けられる。
つぎつぎにサブボディからアイデアが届けられてきて
まるで汲めども尽きせぬ泉を前にしているかのようだ。
いくつも書き進めている文章の内容も、
サブボディが示唆してくることを書き留めているものばかりだ。
サブボディは
24時間態勢、こちらは16時間しか起きていられないから、
まるでサブボディにこき使われている使用人のようなものだ。
だが、どちらが主ということではなくどちらも自全の中の大事な部分だ。
意識とサブボディの最適の関係をつくると、
最高度の創造性が発揮される状態になる。
サブボディはなんの制約もなく自由に発想できるからだ。
もう十数年この状態が続いている。
年々ツリーとリゾーム、意識とサブボディの関係がよくなってきている。
わたしは
60年の生涯で今ほど創造的であったことはない。
若いころ、どんなに無駄な思い込みや自己規制に囚われて、
自ら創造性を投げ捨てていたことか。
そんな馬鹿なことを他の人が繰り返さないために、
わたしは意識を鎮め、意識と下意識が半々につりあう透明状態を
人々に伝え続けている。

 

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