舞踏論   土方巽に捧げる
第2部 「静かな家」の深淵へ
 
 ミショー
ミショーの3つの顔
ミショーのインク壷
ミショーのガラスの人
ミショーの人物
ミショーの鶏の亡霊

アート舞踏譜4 ミショーのインク壷
 

ミショー
は人間から個性や人間臭さをすべて差っ引き、
インクのシミみたいなものにまで還元した。
「静かな家」にも、「ミショーの顔」が出てくるが、
これはミショーその人の顔ではなく、
ミショーが描いた人物像の顔だ。
といっても、ミショーは人間像からあらゆる人間的なものを取り去り、
ほとんどインクの飛沫や粘土のひび割れとも見紛う、
根源的な生命存在の蠢きにまで還元している。
とくに群れとしてうごめく人間像が、原生的なバクテリアやアメーバ、
あるいはアウシュビッツに積み重ねられた死骸の山のような
極限的な姿で捉えられている。



 
ヴォルス
ヴォルス(胸元の神経の束)
ヴォルスのような糸
ヴォルスのインクのシミ
ヴォルスの光
ヴォルスの多面体
ヴォルスの孔雀
ヴォルスの気化
ヴォルスの神経
ヴォルスの神経が土くれる
 

ヴォルスの都市
ヴォルスの重層
ヴォルスは、人間の内面と外面が伴って変容するさまを描いた。目に見える情報を
差っ引いて、人間のクオリアそのものを描いた。

クオリアといえば、すべての画家は、目に見える情報ではなく、クオリアで描く。
魂の目で見るといってもいい。
情報に左右されず、生命のクオリアで共振することのできるものは
一言も喋らずとも瞬時に交感できる。
土方もなんの理屈も説明もなく、彼らが自分と同じ、X還元の技法を
身に着けていることを直感したのだ。
わたしもここでは、長々とした解説は省く。
人間からどんな要素を差し引けば、彼らの絵画が成立するのか、
推測してみてください。

X還元の方法など感知しなかった彼らの方法も、<X還元技法>で解けるという点に
<X還元技法>が普遍性を持っていることを示している。




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