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第11章 クオリアの原初



生命の原初

生命の原初を待つには、
ビッグバン以来百数十億年の時間が必要だった。
ビッグバン当時は、
すべてのひもは極小空間に閉じ込められていたが、
三次元空間と一次元の時間が拡張し、
宇宙のインフレーションを進めるとともに、
ひもの共振パターンは、
さまざまなエネルギーや物質に多様化した。
生命が地球に生まれた40億年前には
すでに無数の原子や分子が生成し、
多様化のきわみを迎えていた。
そのなかで、あるとき、
自己維持と創発をする傾向をもつ
ひもの共振パターンが生まれた。
この新しい傾向性をもつひもの共振パターンの
発生こそが生命創発の瞬間だった。
これは、これまでに何度も書いてきたことなので
これ以上書かない。
(くわしくは、第3章 生命の発生現場、
第5章 生命と創発を読んでください。)

今日は、一日最初の生命にとって
クオリアとは何だったのかを瞑想し続けた。
最初に生まれた生命に成りこんで
何が起こったのかを感じ続けた。
ひとつのこれまでにない気づきが訪れた。
その気づきに従い、それを増幅することで
この章を書くことができた。

クオリアの原初

この発生した自己維持と創発の傾向を持つ
ひもの共振パターンは、周りのものやエネルギーと
絶えず共振を続け、共振パターンを変化させ続けていた。

クオリアとは、原初的には、
この生命のひもの共振パターンに起こった
共振パターンの変化そのものであった。

――これがクオリアについての長い瞑想と考察生活の中で
今日はじめて訪れた気づきだ。

生命は絶えずひも共振パターンの変化を受けながらも、
なお自己維持と創発を続けていく傾向を持っていた。
もちろん、ある共振パターンの変化は
生命に自己維持をできなくさせ、死をもたらした。
だが、数多くの生命のなかには、その変化をも繰り込み、
自己維持していくしかたを創発したものがあった。
長い生命史のなかの無数の死を代償に、
あらゆる共振パターンの変化に
耐えうる生命だけが生き残ってきた。

クオリアとは、この生命のひも共振パターンに起こる変化を
自己維持のなかに繰り込んでいける生命の記憶として
蓄積されてきたものだ。
このクオリアは、最初は生命細胞内諸分子のひもの
共振パター ンに起こった変化そのものを、細胞分裂によって
直接次世代に受け継がれていっただろう。
だが、やがて、そのクオリア記憶の次世代への伝達を
受け持つ特定の器官が形成された。
核やDNAという器官を創発しえた生命だけが
生きのびるという形で、無数の同胞の死を代償に
それらの創発が次世代の生命に伝達されてきた。
遺伝子には、無数の、
クオリアというひも共振パターンの変化の記憶と
それに対する対処法が刻印されている。
いわば、遺伝子とは無数のクオリア記憶と
その料理法(レシピ)の貯蔵庫である。
たとえば、何十度C以上の熱から受ける
ひも共振パターンの変化からは遠ざかるべし。
ナトリウムやカリウムなどのひもの共振パターンは
同化し取り入れるべし、などという無数の
クオリアレシピが蓄積している収蔵庫だ。

いまその解読は始まったばかりだ。
だが、現在の科学者は、この遺伝子に刻まれた
無数のクオリア記憶を情報としてしか取り扱おうとしない。
生命の叡智への畏怖と尊敬をなくして
それらの情報を利己的な金儲けの手段として
利用しようとする製薬会社などが、
利潤目当てにしのぎを削って競争している。
生命にしかクオリアは使うことができないという神秘を
彼らは覆い隠す。
それを機械にも扱える情報としてのみ取り扱うことによって
生命とクオリアの切っても切れない共振的生成という
一個二重の本質が隠し覆われ続ける。

これによっていったい、なにがどうなるのか。
今はまだ未知だ。
だが、生命共振を無視することで
一層生き難い世の中になるのは必至だ。
解読した遺伝子情報は一部企業に私有され、
命が金で売り買いされる時代が始まっている。
だが、誰にいったい40億年の生命の叡智を
私有する権利などあるのか。
遺伝子とは、生命とクオリアの共振的生成の叡智が
書き込まれた人類の共有財産である。
それを私有することを正当化する社会は
根底から変革されなければならない。
それを許せば、土地の私有化から始まった
原始資本主義の発生より
さらに恐ろしい時代の幕開けにつながる。



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