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第7章 サブボディ思考



●クオリアを捉えるサブボディ思考

クオリアを感じているのは人間だけではない。
あらゆる生命がクオリアを感じ、それを使い、
生命を調節して、創発しつつ持続している。
だとしたら、クオリアを<感じる>という言い方も
人間にひき寄せすぎた偏向した言葉遣いだ。
アメーバやバクテリアに心はない。
せめて、<咸じる>という漢字を使うことで、
それら心を持たない生命体が
クオリアを<咸じ>ているあり方に敬意を表すことにしたい。

生命はクオリアを使って40億年間クオリア思考を続けてきた。
そう、それを<クオリア思考>と呼ぼう。
言語を使う言語思考の以前に
あらゆる生き物はクオリア思考をしてきた。
今もしている。
そのことをわれわれはあまりにも簡単に忘れ去ってしまっている。
言語思考だけが思考ではない。
夜な夜な、きみの下意識はクオリア思考を使って
膨大な思考をし続けている。

クオリアの全容を捉えるには、
生命が発生した40億年前にまでさかのぼって
捉えなおすことが必要だ。
そうしてはじめて、もっとも原初のクオリアから、
今日の人間にとってのクオリアまで発展してきた
クオリアの全容を捉えることができる。

生命やクオリアを、言語思考だけで捉えることはできない。
言語思考そのものが、生命やクオリアから疎外されて
発生したものであるからだ。

生命には生命全体であたること。
単細胞や、群体細胞にからだごと成りこんで、
動けないクオリア、動かされるクオリアをからだで味わい、
からだで理解すること。

生命をつかむには、生命の各種のありかたに
からだごとなりこんで味わう<サブボディ思考>が必要だ。
サブボディ思考は、頭だけで考える近代思考に代わって
ついに発見されたまったく新しい思考方法だ。

からだを使わず、言語思考だけで生命や
クオリアを捉えようとするのは、
生命に直接触れず、生命について書かれた書物だけを通じて
生命を捉えようとする愚に等しい。


●心1万年、クオリア40億年

ユングは、心は1万年の歴史を持つといった。
だが、生命やクオリアは40億年の歴史だ。
クオリアを使っているサブボディ(下意識のからだ)も
40億年の歴史を持つ。
言語や意識ではとてもその闇の濃さに届かない。
それらをかなぐり捨てて、全脳心身でからだごと
40億年の闇の種種相になりこむ以外、道はない。
からだごと成りこむサブボディの方法を、
<サブボディ思考>と呼ぶことにした。
頭で、言語を使ってする思考以外の
新しい思考方法が存在する。
このサブボディ思考によってはじめて、
生命を内側からまるごと思考することができる。

40億年前の、発生したばかりの原初生命になりこみ、
原初のクオリアを味わうこと。
想像するだけではなく、実際に静かな部屋に立ち、
何十分かゆらいでみてください。
大洋で漂い続ける単細胞生命になりこんで、
浮遊のクオリアをからだで味わいなおすこと。
すぐやめないこと。何十分か時間がたつと、
じっさいにからだが思い出してくれるのを知ることができる。
波、潮流、重力、日光、水中音、……
……これらのクオリアをからだで憶い出すこと。
命は、生命発生以来30億年も続いた単細胞生命時代を、
漂い続けて過ごしてきたのだから、浮遊のクオリアは
誰のからだも深く思い出せる。
不思議なことだがやってみればほんとうだと分かる。

●頭で思考する習慣を脱ぐ

こうして、あらゆる原初的クオリアを次々と
からだで憶いだして味わいなおすこと。

動けないクオリア、
動かされるクオリア、
漂うクオリア、
ゆらぐクオリア、
ふるえるクオリア、
うねるクオリア、
光を受けるクオリア、
音に響くクオリア、
触れ合うクオリア、
つながるクオリア、
離れるクオリア、
閉じこもるクオリア、
快調なクオリア、
不調なクオリア、……
何はともあれ、これらの原初的クオリアを
とことんからだで味わうことが大事だ。
あたまではなく、からだで考える。
そういう新しい<サブボディ思考法>を
自分のからだで実践できる、
いわば一度、阿呆になってみてください。
人生が変わります。
クオリアの驚くほど豊かなまばゆい輝きが
命に染み込んできます。
生命があらゆるものと共振していることを知ることができます。
人と人のやわらかいつながりが感じられ始めます。

一度阿呆にならないと、髄まで染み込んだ、
頭だけで生命などを知ることができるという
近代思考の思い上がりと悪弊を脱ぐことはできないのです。
阿呆になるのは怖いけれどね。
勇気を出して阿呆になってみてください。



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