| <急>――揉み寄せ、発明、命に転生 |
●<急>――揉み寄せ、発明、命への転生 さまざまな<急>がある。 その踊りが何であるかを決めるのは<急>次第だ。 自全魔界を遍歴しているうちに、 ついに命そのものに転生する次元が開くときがある。 個体としての命ではなく、類としての大きな命の源につながる。 それが見つかれば、それは紛れもない<急>だ。 自全の総体がふるえだすので分かる。 だが、いつもそれが見つかるとは限らない。 だから、<急>は最大の発明のしどころなのである。 順手ならば、さまざまな動きを短時間のうちに次々と見せ、 手数を増やして揉み寄せ、緊張を極限まで高めていく。 それが揉み寄せの<急>だ。 これだけでも<急>になりうる。 それを踊っているうちに、踊りの芯が見つかるときがある。 それが最後の<急>だ。 命に聴けばいい。 「この踊りを何千万回繰り返せるかい?」 命が「然り!」と答えれば、 それは紛れもない君のサブボディにとっての<急>である。 激しいクライマックスに至る<急>もあれば、 静寂の極致に至るアンチ・クライマックスの<急>もある。 華やかな花を見せる<急>もあれば 真っ暗な謎の中に沈んでいく<急>もある。 いや踊りにはこのどちらもが必要だ。 その踊りの花と謎を最果てまで開け果てる。 それができたら<急>を踊ったことになる。 世界でまだ誰も見せたことのない<急>を発明すること。 それが<急>の課題である。 そこで、踊り手はこの世の姿かたちを惜しげなく脱ぎ捨て 他界の住人に転生する。 この世に異界からのまなざしを差し向ける。 この現世はクオリアの輝きに満ちている。 命はそれらとまばゆいばかりに共振している。 だが、死の世界は、どんなクオリアとも共振することはない。 共振なき世界から、共振世界を見つめる。 死者となって始めて生者に届けることのできる 臨生のまなざしだ。 そのまなざしは現世に生きている観客に、 そこで生きろ!と告げる。 そここそが君の生きる場所だ。 見てみろ輝かしいクオリアに満ちているではないか。 豊かな共振にあふれているではないか。 自分の日常世界の豊かさを忘れて退屈し、 踊りなどを見に来ている観客に、 今いる場所で創造主として生きろと告げる。 それが命からから命へのメッセージだ。 <急>とはこの、命から命への伝言がにじみ出てくる踊りの謂いだ。 それが見つかるまで、何年も待たねばならないこともある。 それまでは、揉み寄せの<急>を踊ればよい。 そのときを待つしかない。 |
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