調体法4 六道ゆらぎ

静寂体になる

できるだけ静かなからだになる
微細な動きをするためには、
まず、静まることが大切だ。
静を知らなければ動が何であるかわからない。
そして、不動もまた動きであることを知る。
最初はなかなか静かなからだになれないものだ。
それでいい。徐々に慣れてくる。
慣れれば即座に静まれる。
そうなれば、静寂体を身につけたことになる。
ここでいうゆらぎとは、いわゆる動きではない。
静と動のあいだでゆらぐことである。
生と死の間、この時空の現実と非時非空の幻界との間の
どちらにも属さない妙間に棲む存在になることである。
このゆらぎの練習は、次の六つの種類に分けて身につける。
どのゆらぎも、三次元方向のいずれにも開いていく。

1.ゆらぐ

からだの各部があらゆる方向にかすかにゆらぐ。
つねにじぶんが制御できる最小のゆらぎを身につけていく。
慣れるまでは、水平、矢状、戸板の三次元方向にゆらぐよう
意識的にゆらいで見る。
日常体は、どれかの次元方向には対応できるが、
どれかの次元方向の動きは忘れているものだ。
新しい可能性に触れるとからだは必ず
新鮮な快感を覚える。
この<鮮快>がこれからの長い旅の、
最初の相棒になってくれるはずだ。

2.ふるえる

からだの各部が小さくふるえる。
あらゆる次元方向にふるえてみる。
自分ではなく何か別の力によって
ふるわされていると感じる。
ふるえの体感を味わう。
ふるえのクオリアは生命にとって
不可知の長い秘められた歴史を持っている。
予想もしない時代の生命の世界に連れて行ってくれる。

3.うねる

からだの各部がかすかにうねる。
うじ虫や蛇の動きだ。
あらゆる次元方向にうねり、くねる。
くねりとは、二次元方向のうねりに、
三次元方向の力が加わり
波動に螺旋がまじるうねりをいう。
しばらく続けていると
からだの原始的な生命感がよみがえってくる。
各時代の見知らぬいきものの体感がしみこんでくる。
各動きを<鮮快>を感じられるまで続ける。
なかには自分のサブボディに未知のつながりを持つ
<深快>に導かれるかもしれない。
そういううねり・くねりが見つかったら
大事にとっておく。

4.ひきつる

突然、短い動きがからだを走る。
生命が予期せぬ事件に出会ったときの
原生反応は、身を縮め危険から身を引くことだった。
突き動かされたり、驚かされたり、
予期せぬショックに見舞われる。
不随意の感覚を楽しむうちに、だんだん、
自分のからだではないように感じられてくる。
生命体が40億年を生き延びる間には
じつにさまざまな予期せぬ出来事に出会ってきた。
アクシデントに対する原生反応には、
生命の長い歴史が刻み込まれている。

5.こわれる

からだの一部が自由が利かなくなる。
弱り、衰え、不自由になっていく。
自分ではなく誰かに動かされる。
地球の重力が突然重くなる。
全身がばらばらになっていく。
死を眼前に感じる。
瀕死のクオリアにゆらぐ。
生命はいつも生と死のあいだでゆらいでいる。
600兆の細胞の今日身体である人間のからだでは
毎日何百万という細胞が壊れ、死に、また生まれ出ている。
死は生命にとっては恒常的な出来事のひとつなのだ。
衰弱体とは、この崩壊寸前のからだを
命がけで持ちこたえることである。

6.死の側から見つめる

からだの一部が死んでしまう。
無機物に変成していく。
気味の悪さが伴う。
じょじょに全心身が死滅する。
死体となって死の側から、この世にまなざしを向けてみる。
生きたまま死を味わうことで、
生とは何か分かる。
生の世界はまばゆいばかりのクオリアに満ちている。
生きとしいけるものはみなこのクオリアと豊かに共振している。
だが、死者はこのクオリアと共振することができない。
その落差の間で存在ごとゆらぐ。
自分でゆれるのではない。
なにものかが死体をゆらす。


7.六道ゆらぎ増幅


1から6をくりかえしつつ増幅する。
繰り返すたびに、動きのサイズが大きくなったり小さくなったりする。
間合いや順番がランダムになる。
あらゆるサイズ、方向、リズムの六道ゆらぎを味わう。
そのうちその日のサブボディにもっともふさわしい
ゆらぎが見つかる。
自分ではなく誰かに動かされているからだになる。

8.すべてのチャンネルで六道にゆらぐ

動きのチャンネルでの六道ゆらぎが身についたら、
映像チャンネルや、音像チャンネル、
感情チャンネル、関係チャンネル、
世界チャンネルなどを次々と開き、六道にゆらぐ。
映像チャンネルでは、
湯気や煙や泡などさまざまな視覚イメージが
六道にゆらぐことを想像しながらゆらぐ。
音像チャンネルでは、
体腔音が六道にゆらぐことから始める。
感情チャンネルでは、
たとえば悲しみと怒りの間でゆらぐ。
期待と落胆の間でゆらぐ。
名もない情動と表情の間でゆらぐ。

9.八覚内外向覚六道ゆらぎ共振

たとえば関係チャンネルでは、
ほかの人の動きが移る。
ほかの人の動きが目に入ったら、伝染されてみる。
自分ひとりでやるときは、想像上の生き物に
動かされていると想像するのがいい。
やがてそいつが仲のよい友達になってくれる。
生き物ばかりではなく、
外界の木々のゆらぎや風や音に共振してゆらぐ。
想像上の無数のゆらぎと共振してゆらぐ。

10.透明ゆらぎ

自分の意志で動くのではなく、
ただあらゆるものと共振しながらゆらぐ
誰のものでもないからだになっていく。
内外の境界も自他の境界もなくなった
透明なゆらぎに変成するまでゆらぎつづける。

宇宙はただただ、無数のゆらぎに満ちている。
宇宙そのもののゆらぎに転生する。

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