| クオリア透明体 |
| このクオリア透明体は、 ほぼサブボディ舞踏の最終の境地だ。 何年かかるか分からないが、 こういうからだになりたいと思う。 実際からだに変化が起こるには ずいぶん時間がかかる。 十年単位で自分のからだと付き合っていく 気の長い時間を知らなければならない。 |
●クオリアの通るからだになる 人間のからだはエネルギーで動くのではない。 エネルギーは単に粗大なからだを動かす燃料に過ぎない。 人間を動かしているのは生命とクオリア流だ。 クオリアによって動きの方向や質や速度や それに使うエネルギーなどの総体を制御している。 エネルギーなどという大雑把な機械的物質概念を 人間のからだに適用してはならない。 アインシュタインが物質とエネルギーが同じものであるという 相対性理論を発見してからもう100年経つのだ。 いい加減自分がエネルギーで動いているなどという 自己誤解から覚めねばならない。 からだをエネルギーで動かすという妄想にとりつかれることは、 自分を物質だという誤解にとりつかれることだ。 アスレチックジムで、機械と格闘しているマッチョマン、 マッチョウーマンのロボットダンスになる。 そういう粗大な感覚をそぎ落とさなければ、 からだを伝う生命とクオリア流が透明に見えるからだになれない。 からだは、多次元のからだの闇と一体である。 そこを複雑精妙なクオリア流が流れている。 ●からだにさまざまなクオリアを通す ゆらぎ瞑想から呼吸、三元、灰柱など 一通りの調体を済ませてから、この練習に入る。 ・こわばりのクオリアを通す ――足指または手指をぎゅっと握りしめる。 そのこわばりが、足首(手首)に伝わる。 次々と隣接する部位にこわばりが伝わりからだを通り抜けていく。 通り抜けた後は平静に戻る。 ・こわばりがからだに満ちる ――からだのどこかの一部がこわばりだす。 それが隣の部位に伝染する。 通り抜けるのではなく、 じょじょにからだ全体がこわばってしまう。 ・ゆるみのクオリアが通る ――こわばりきった全身の一部から緩みだし、 次々と隣の部位にゆるみが伝わり 通り抜けていく。 通り抜けた後のからだは 再び硬化する。 ・ゆるみのクオリアに満ちる ――こわばりの場合と同様、 からだの一部から、隣接部位、 そしてからだ全体が緩みきる。 (以下、それぞれのクオリアについて、 通すと満ちるの両方、あるいはいずれか一方を練習する。) ・震えのクオリア ・うねりのクオリア ・気化のクオリア ・ヒューマノイドのクオリア ・粘菌のクオリア ・石のクオリア ・ラッパムシのクオリア ・獣のクオリア ・引き裂かれのクオリア ・バツの悪さのクオリア ・しり込みのクオリア ・無理強いのクオリア ・憤怒のクオリア ・悪霊のクオリア ・衰弱のクオリア ・瀕死のクオリア ・死のクオリア ・無のクオリア ・その他、自分で思いつく限りのクオリアを通す。 ●クオリアの通り道 ・よじれあう螺旋 人間のからだには直線はひとつもない。 すべてのクオリアは微細な螺旋が複雑微妙に よじれあった経路をにょろにょろと伝わる。 ・多次元連結 ひとつのクオリアがにょろの経路を通るからだになったら、 次の段階では、 からだのどこかを通るうちに異次元が開畳して 別のクオリアに微妙に変質するのを咸じとる。 クオリアが至るところで変容流動するからだになる。 ・固有のタイミング 開畳する次元の性質によって、 まるで異なったタイミングで変容する。 ひとつのクオリアの次に 絶妙の<破>のタイミングを見せて 次のクオリアがひとりでに開畳する からだになるまで練習を積む。 じわじわ、さっ、おろおろ、ドン! ギクシャク、べろべろ、…… クオリアに応じた固有の序破急を聴き分け、 夾雑物を取り去り、 通っているクオリアが もっとも透明に見えるからだになる。 ●クオリア透明体 以上がすべてできるようになったら、 (できないのに次に進んではならない。 急ぎすぎるとすべてが水泡に帰する。) クオリア透明体のサブボディソロを ひとつつくってみるという課題に取り組みなさい。 ひとつひとつのクオリアを大事にし、 それぞれのクオリアがもっとも透明に見える たったひとつのタイミングを見つける。 どのクオリアの次にどのクオリアが開畳すると 両方のクオリアがもっとも引き立つか、 最適の序破急を見つける。 それをフィックスし、からだにしみこむまで練習する。 即興はとても大事だが、いつまでも即興だけでは 深い美を彫琢する技量が身につかない。 一世一代の振付けができたら、 それをさまざまに異なる場で開畳し、 場との即興的対応力を身につける。 やがて、即興と振り付けの区別がなくなるところまで 自分固有の即興と振付けとの絶妙の関係を見つける。 ●花と謎 最初は自分が何を踊っているのか分からなくていい。 言葉で説明のつくような浅瀬のクオリアなど 踊っている暇はない。 ことばになどならないものだけを踊る。 からだの底からやみがたく強い力で立ち上がってくる 謎のクオリアだけに突き動かされて踊りをつくる。 その踊りを十年ほど踊り続けたあとで、 自分が何を踊っていたのかがおぼろげに分かってくる。 それでようやく心身が透明になりだす。 踊りの中の花と謎がはじめて目鼻立ちを持ち出す。 透明体への変成はとても長い時間がかかる。 十年以上の時間の単位で からだの闇の底で熟し実ってくるものだ。 |
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